長所だけでは戦えない 短所を克服してこそ実力は上がる
今の若者に「あなたの長所は?」と尋ねると「○○というところです」と答えが返ってきます。
「ありません」とは言いません。
私たちの若い頃と比べてずいぶん変わっていると感じます。
同じように「あなたの目標は?」と聞くと、これも必ず答えが返ってきます。
ですが「それで、あなたはどうするの?」「今日、あなたは何をすればいいの?」と聞くと答えられません。
自分のいいところを分かっている。
長所がどこなのか理解している。
でも、短所があることに真摯に目を向けることをしない。
短所を避けて通るのです。
シンクロの世界で、世界一を目指そうとした時、日本チームには日本チームなりの長所があり同じように短所もあるわけです。
外国のチームにはできて、日本チームにはできないことがある。
これを避けていては絶対にメダルは取れません。
人間ですから誰でも自分の苦手なことは避けて通りたいものです。
それでも、自分の苦手なことに目を向けて苦手と感じなくなるまで必死に練習する。
それでこそ、自分のトータルの実力がアップするのです。
長所を伸ばすことは大切です。
でも長所だけでは勝負の世界では通用しない。
これは実社会でも同じだと思います。
自分の短所を認める、そこから成長が始まるのです。
叱るときは「三点セット」で叱る
テレビなどで選手たちを叱るシーンばかり映されているせいか、私は「叱る」代表のように思われているようです。
自分では叱っている感覚はなく本当のことを言っているだけだと思っています。叱っているのではなく
①「選手の悪い所をはっきり指摘している」のです。そして本当の事を指摘する。
②「必ず悪い所を直す方法を伝える」ことが必要です。伝えなくては、叱られっぱなし自信をなくしっぱなしになってしまいます。
人は失敗すると自信をなくしますが、そこから這い上がった時に自信を得るのです。
私は、直し方を言ってすぐ直らなくてもその選手が駄目だとは思いません。
叱った後は、手を替え品を替え色々な方法を伝えていかなくてはなりません。
③「直せたかどうかを確認する」です。改善できたかどうか確かめるのは口で言うほど簡単ではありません。
できるようになるまでやり続けなくてはならないからです。
何回もやってもできないと、私の教え方が悪いんじやないかと迷いがでてきます。
私も一生懸命やっている選手を見るとかわいそうになってもうこの辺でいいかという気持ちが起こってきます。
しかし、ここでやめてしまうと結局は選手の為になりません。
私は選手とではなく妥協したくなる自分と戦うのです。
出典:井村雅代コーチの結果を出す力
あと「1ミリの努力」で限界を超える
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